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Sakai's Chilled Chinese Noodles
“母の味”を親子代々守り続ける『みその橋サカイ』の冷麺
“母の味”を親子代々守り続ける『みその橋サカイ』の冷麺

ハム冷麺(手前)と焼豚冷麺(奥)。具材はハムまたは焼豚、きゅうり、切り海苔だけという潔さ。このシンプルな組み合わせが、至高のバランスを生んでいます。

 きりりと冷やした中華麺に、同じく冷やしたスープをかけ、焼豚やハム、きゅうりなどの具をトッピングした、あの食べ物。夏になると中華料理店の店頭に「○○○○、始めました」と貼り出される、あの夏の風物詩的グルメを、皆さんは何と呼びますか?「冷麺」派のあなたは、きっと関西人。全国区では「冷やし中華」と呼ばれることが多いようです。ところで、インターネットの某百科事典サイトで「冷やし中華」を検索すると、「京都の中華のサカイは、創業時よりゴマだれを使った冷麺(関西での冷やし中華の呼称)をメニューに載せており、関西では、関東以北の冷やし中華とは異なり、独自に発展したとする説もある」という記載が。その『サカイ』を訪ねてみました。

 実際にお話を伺ってみると、サカイの冷麺はゴマだれではありませんでした。鶏ガラをベースに、秘伝の調味料を加えて煮込んでは冷まし、また煮込んでは冷まし、繰り返すこと、丸二昼夜。こうして、知らない人が見たらゴマだれと勘違いしてしまうトロみと、コクのあるスープが生まれるのです。このスープがボリューム感のある太麺に絡んで、「冷麺といえばサカイ、サカイといえば冷麺」と言われる人気の味になるわけです。この味を生みだしたのは、現当主の土田八滋さんのお母さん。

 「昭和二十八年くらいやったと思います。料理好きの母が、ああでもない、こうでもないと何年もかかってこのレシピに辿り着いたようです。昭和五十八年に『みその橋サカイ』を開店したときは、この味をまっすぐに受け継ぐことを考えました。母は晩年まで味見をしては『ちょっと違う』『うん、一二〇点』とか言ってましたね」

 開店当初は思ったほど売り上げが伸びず、お腹をすかせた学生たちが来たときには、黙って大盛りをサービスしたこともあったとか。徐々に口コミが広がり、雑誌やテレビで紹介されるようになると一気に火が付いて、現在では夏場で一日に最高七〇〇食、冬でも五〇食ほどはコンスタントに売り上げています。そう、一年中いつでも冷麺を味わえるのも、この店の魅力のひとつ。それでもやっぱり、夏の冷麺は格別です。

  風そよぐ ならの小川の 夕暮れは
    みそぎぞ夏の しるしなりける

と古歌に詠まれた上賀茂神社のほど近く、地元の人だけでなく全国からファンを集める、『みその橋サカイ』の冷麺。賀茂の清流での避暑を楽しんだ後は、おいしい「夏のしるし」でお腹を満たしたいものです。

大量のお湯で茹で上げて、冷水で一気に締める。この気合いとタイミングが、独特の歯ごたえと喉ごしを生み出します。
大量のお湯で茹で上げて、冷水で一気に締める。この気合いとタイミングが、独特の歯ごたえと喉ごしを生み出します。

大量のお湯で茹で上げて、冷水で一気に締める。この気合いとタイミングが、独特の歯ごたえと喉ごしを生み出します。

Information
みその橋サカイ
北区大宮東総門口町38‐3
TEL:075(492)4965
 

みその橋サカイ 土田 八滋さん 啓介さん

みその橋サカイ 土田 八滋さん 啓介さん

当主の八滋さんと、そのご子息で店主の啓介さん。「家族で作り上げ、伝えてきた味を好きになっていただけるのは、本当に嬉しいことです。これからもしっかり守り続けていきます」

店内の壁に書かれた言葉通り、この店では通年で冷麺を味わうことができます。

店内の壁に書かれた言葉通り、この店では通年で冷麺を味わうことができます。



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