湯どうふの順正
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Fujita Dyeing Factory
藍染めの新技法で、モノトーンの中に無限の彩り
藍染めの新技法で、モノトーンの中に無限の彩り

 「青は藍より出でて藍より青し」という故事成語があります。師匠から学んだ弟子がついに師匠を追い抜く、という意味で、出藍(しゅつらん)の誉れ、という言い方もあります。伝統工芸の世界では技術や意匠が長い歴史の中で確立されていて、なかなか「藍より青」くなるのは難しいのですが、それでも新しいことに挑戦して結果を出している人がいます。「藍捺染(あいなつせん)」の技法を開発した染色工房、藤田染苑の藤田丈博さんもその一人。伝統的な藍染めの技法は「浸染(しんせん)」といって、生地を染液にドボンと浸けて染めますが、この方法だと、基本的には無地の藍染めしかできません。柄を出すためには、染めない部分をロウで防染する「ろうけつ染め」か、無地に染まったものに抜染剤で柄を描き、その部分をブリーチするという手間とコストのかかる工程が必要でした。藤田さんが開発された業界初となる技術・藍捺染は、藍の染料と媒染剤をブレンドした糊をつくり、型友禅によって柄を染め出す方法。糊は藍の濃度によって何段階にも作り分けられていて、デザインの自由度も大きく広がりました。その革新性は、今までの藍染めの概念をくつがえすほどです。

 「天然の藍と、綿などの天然繊維は、たいへん相性がいい。酸化と還元の過程を経て深い藍色が発色し、定着していく様子には、なにか神秘的なものを感じます。天然の藍と化学染料の藍、化学式を見れば同じなんですが、やはり味わいは違うと思います」と藤田さん。工房には、藤田さんのお父さんの代から三〇年以上も働いている方も含め、十数名の職人さんが活躍しています。藤田さんの発明によって工程は格段に少なくなったとはいえ、一枚一枚、手仕事で染めていくことに変わりはありません。「最近ではインクジェットプリンタで染めるところも出てきていますが、手仕事ならではの温もりは、機械には真似のできないものです。色の冴え、奥行きが違う。気温や湿度によって糊の調合を微妙に変えていくのも人の感覚だし、色を乗せていく篦(へら)、スキージを扱う指先の力の入れ具合も修練の賜物です」

 日光や摩擦への耐久性が高く、永く愛用できる藍染めは、藍捺染によってより幅広い表現の可能性を得ました。気鋭のテキスタイルブランドとのコラボレーションによる手ぬぐいをはじめ、清涼感と遊び心を兼ね備えた新しい藍染めに注目が集まっています。この夏、粋で涼やかな藍染めを、装いに プラスしてみませんか?

藍捺染によって染められたさまざまな柄。藍という単色の中に、無限の彩りが秘められています。

藍捺染によって染められたさまざまな柄。藍という単色の中に、無限の彩りが秘められています。

京都のテキスタイルブランド「SOU・SOU」とのコラボによる手ぬぐい「花がさね」。濃度の違う2種類の藍のコントラストを生かした、和モダンな意匠です。

京都のテキスタイルブランド「SOU・SOU」とのコラボによる手ぬぐい「花がさね」。濃度の違う2種類の藍のコントラストを生かした、和モダンな意匠です。

型染めの生命線、スクリーン型。藤田染苑には、振袖から浴衣、小物まで用途別に6000以上のパターンが保管されています。

型染めの生命線、スクリーン型。藤田染苑には、振袖から浴衣、小物まで用途別に6000以上のパターンが保管されています。

 

創作染処 有限会社 藤田染苑 藤田 丈博さん

創作染処 有限会社 藤田染苑 藤田 丈博さん

極彩色の友禅染めを主体としながら、新しい藍染めの可能性を探り続ける藤田さん「手仕事から生まれた商品は、その背後に“ 物語”を秘めています。それが伝わるような物づくりをしていきたいと思います」


Information
藤田染苑
右京区梅津段町41‐4
TEL:075(882)1882
※工房見学・小売りは行っておりません

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