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-Tsubaki Mochi- 餅
梅と椿の時季だけ味わえる城南宮参道の『椿餅』
源氏物語『若菜上』の帖にも登場する椿餅。数に限りがあるため、売り切れ御免です。

源氏物語『若菜上』の帖にも登場する椿餅。数に限りがあるため、売り切れ御免です。

方除けの御利益で信仰され、四季折々の花が美しい『源氏物語花の庭』で知られる城南宮。2月下旬から3月中旬頃には、150本余りのしだれ梅と300本もの椿が次々と咲きこぼれ、訪れる者の目を楽しませてくれます。

梅と椿の開花時季に城南宮では『しだれ梅と椿まつり』が催されますが、その期間だけ、城南宮の参道で買うことができるお菓子があります。それが松甫堂(しょうふどう)の『椿餅』です。

「以前、門前にあった茶店にお餅をお納めしていたご縁で、城南宮の鳥羽禮自名誉宮司さんからお話をいただき、お作りしたのが始まりです」と説明してくださるのは、松甫堂3代目当主の長谷川博巳さん。「姿かたちも名誉宮司さんが監修され、味見をしていただいて、『この味なら』とご納得いただきました。地元伏見の水を使い、一つひとつ丁寧に手作りしています」。

椿餅の歴史は古く平安時代にさかのぼることができ、これが日本の餅菓子の起源になったという説があります。源氏物語の『若菜上』の帖には、若い貴公子たちが蹴鞠のあと、梨や柑橘類などとともに椿餅(つばきもちい)を食べる場面が。当時の椿餅は、餅米を乾燥させて臼でひいて作った餅粉(現在の道明寺粉)を甘葛の汁で練って団子のようにし、椿の葉で包んだものであったようです。

そんな故事にちなんで早春のお茶菓子として出される現在の椿餅は、白い道明寺粉のお餅の中に餡を包み、椿の葉で上下を挟む姿が基本形。城南宮名誉宮司がプロデュースした松甫堂の椿餅は、お餅の上に黄色い餡をちょこんと乗せ、白玉椿のように愛らしい姿をしています。

「うちは祖父が73年前に創業し、地元伏見に密着した和菓子屋として地道にやってきました。城南宮は『曲水の宴』でも知られるように、平安時代の文化を大切にしておられるお宮さん。こうしてご縁をいただいて、そのお手伝いができるのは本当にありがたいことです」。

かぐわしく神苑を彩る梅と椿を愛で、平安貴族も楽しんだであろう甘味に舌鼓を打つ。そんな雅なひとときを求めて、ぜひ早春の伏見をお訪ねください。

城南宮の社殿西に広がる『春の山』に咲く、あでやかなしだれ梅と椿。平成29年の『しだれ梅と椿まつり』は2月18日から3月22日だそうです。

城南宮の社殿西に広がる『春の山』に咲く、あでやかなしだれ梅と椿。平成29年の『しだれ梅と椿まつり』は2月18日から3月22日だそうです。

Information
松甫堂
京都府京都市伏見区上神泉苑町806
TEL:075(601)1940
※椿餅の販売は城南宮参道での出店時のみ
 

松甫堂 長谷川 博巳さん

松甫堂 長谷川 博巳さん

「『しだれ梅と椿まつり』期間中、2月は土日に、3月は毎日(火曜を除く)、参道に店を出しています。毎年必ず城南宮の梅を見がてら立ち寄ってくださる方もおられて、うれしいかぎりですね」。

祇園祭を彩る菊水鉾の涼やかなお菓子『したたり』

箱の表書きは、この椿餅を監修した城南宮名誉宮司の筆によるもの。思い入れが伝わってきます。



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