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-Landscape Garden- 庭
『重森三玲庭園美術館』へ美しき”永遠のモダン”を訪ねて
『重森三玲庭園美術館』へ美しき”永遠のモダン”を訪ねて

寛政元年(1789年)建築の書院から庭園を望む。障子や欄間による額縁効果で、さながら一幅の絵のよう。

東福寺本坊をはじめ全国約200カ所の庭園の設計を手がけ、昭和を代表する作庭家として知られる重森三玲(しげもり みれい)。彼が家族とともに暮らした邸宅の一部が、『重森三玲庭園美術館』として予約制で一般公開されています。

節分には多くの参拝者で賑わう吉田神社のほど近く、静かな住宅街の中に溶け込むように佇む端正な門をくぐると、出迎えて下さったのは館長の重森三明さん。三玲の孫にあたり、ご自身も美術家でもある三明さんの案内のもと、敷地内に広がる重森三玲ワールド≠じっくり見学することができます。

「この家は、以前は吉田神社の神官の邸宅であったものを、縁あって三玲が昭和18(1943)年に譲り受けたものです。江戸時代建造の主屋や書院はそのまま残しつつ、2つの茶室を新たに造り、もともとあった庭園を発展させるような形で手を入れました。庭園が最終的に完成したのは昭和45(1970)年、亡くなる5年前でしたね」と語る三明さんは、当時10歳。「大きな石が搬入される様子を、今でもよく覚えています」。

そう、重森三玲の庭は、力強い石組みとモダンな苔の地割りで構成される枯山水庭園。自邸の庭にもダイナミックに石を配し、流れるような苔と砂紋の意匠と呼応した美しい空間を作り上げました。その庭園の奥に佇む『好刻庵(こうこくあん)』は、三玲が建具から照明、釘隠しに至るまで徹底したこだわりを注ぎ込んだ茶室。そこには思わずハッとさせられる斬新な発想と、伝統に則した和の美意識とが、不思議なほど自然な調和を見せています。

「三玲は、作庭家であると同時に庭園史の研究家でもありました。各地の庭園を訪れて調査研究を進める過程で、日本の古いものがいかに優れているかに気づいたんですね。結局どの時代にも、過去に学び、解釈し、その上で新しいものに進化させた創作だけが後世に残っていく。それを現代において自分も作りたいというのが、三玲の考えの根本にあったのではないでしょうか」。

最晩年まで美術を愛し、第一線で活躍し続けた重森三玲の、新旧融合の住空間。そこには彼が目指した永遠のモダン≠ェ、確かな生命力を持って息づいています。

 

重森三玲庭園美術館 重森 三明さん

重森三玲庭園美術館 重森 三明さん

「冬は落葉樹の葉が落ちて、庭の骨格が見えます。だから、冬に見ても美しいと感じる庭は”本物”です。苔が一年で最も美しくなるのも、実は寒い時期。ぜひ冬の凜とした空気の中、この庭を見にいらしてください」。

『重森三玲庭園美術館』へ美しき”永遠のモダン”を訪ねて

冬季は「好刻庵」内部の見学も可能。波をデザインした襖や「三玲」の名をかたどった襖の引き手、自ら絵付けした清水焼の釘隠しなど、細部に至るまでモダン≠ナす。

冬季は「好刻庵」内部の見学も可能。波をデザインした襖や「三玲」の名をかたどった襖の引き手、自ら絵付けした清水焼の釘隠しなど、細部に至るまでモダン≠ナす。

Information
重森三玲庭園美術館
京都府京都市左京区吉田上大路町34
TEL:075(761)8776
※見学は11時〜/14時〜(要事前予約)

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