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哲学の道で、橋本関雪に思いを馳せて
哲学の道で、橋本関雪に思いを馳せて

疏水沿いに開花する染井吉野の並木は圧巻。毎年多くの方々が訪れます。

京都は桜の名所に事欠きません。京人は、季節の移ろいを慈しみ、先人の思いを引き受け、当然のように景色のなかに存在させていく。年を重ねた桜ほど心をとらえるのは、多くの方々の記憶が積層し、愛着をまとうからでしょう。

左京区の若王子神社から銀閣寺まで続く哲学の道は、春になると薄桃色の桜によって小径が覆い隠されるほどの風景が展開されます。約2qにわたる数百本もの桜は「関雪桜」と呼ばれ、眼下の疏水に形づくられる花筏(はないかだ)の見事さまでを一連で楽しませてくれる、京都でも屈指の名所です。

「疏水沿いへの桜の植樹は、食うや食わずの時期にあたたかな援助で支えてくれた京都への、橋本関雪の恩返し。妻よねによる妙案だったようです」と語るのは、関雪の曾孫にあたる橋本眞次さん。六十一歳で故人となった才腕を備えた日本画家の、三十九歳のときの話です。

「支えてもらった感謝のしるしとしてモノを贈れば、人が限られカドが立つ。宴席を用意しても、不特定多数をもてなすことは困難です。大正十一年のことですから、世相を考えて京の町を明るく和やかにするお返しなんて、粋な美意識を備えた二人ですよね」。

関雪の自宅兼アトリエだった白沙村荘(はくさそんそう)は、桜景色の哲学の道を疏水沿いに上がった銀閣寺のすぐ近く。関雪が半生をかけて創り上げた理想の地で、現在は記念館として維持されています。

「昨年には、すぐ隣に関雪の作品をご覧いただける新美術館が開館しました。その2階からは関雪が造り上げたそのままの庭を、東山を借景にゆるりと愛でていただけます」と橋本さん。続けて小声で、(東山から顔を出す月とともに切り取る庭は、まさに時代を超えた作品のよう。開館時間外ですから、皆さまに見ていただくことは叶いませんが…)と申し訳なさげに、ぽつり。

季節と時間の移ろいに美を委ねたかのような、白沙村荘。関雪の思いが花開いた桜を楽しんだ後は、彼が大地に描いた作品に身を委ねてみてはいかがでしょうか。

 

白沙村荘 橋本関雪記念館 副館長 橋本眞次さん

白沙村荘 橋本関雪記念館 副館長 橋本眞次さん

「関雪桜が花開く頃は、ちょうど関雪の妻よねの回忌に合わせて『よね茶会』を開催。茶道具なども展示する予定ですので散策疲れを癒しに、時間毎に表情を変える白沙村荘へ、ぜひ」。

新美術館は橋本関雪が晩年に抱いていた「展示棟建設計画」をそのまま引き継ぎ、実現したもの。

新美術館は橋本関雪が晩年に抱いていた「展示棟建設計画」をそのまま引き継ぎ、実現したもの。


哲学の道で、橋本関雪に思いを馳せて
哲学の道で、橋本関雪に思いを馳せて
Information
白沙村荘 橋本関雪記念館
京都市左京区浄土寺石橋町37
TEL:075(751)0446

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