♪月はおぼろに、東山… 山紫水明の都に連なる東山三十六峰は、いったい、どのやまを指すのかも、 その呼び名や文字も、折々に変化を見せる不思議な山々です。 歴史と伝説でつづられてきた東山の魅力を、季節ごとにご紹介してまいります。
〈鳥辺野や人の涙を花のあめ 作者不詳〉と詠われるように平安の時代からの埋葬の地。北の蓮台野、西の化野とともに京都の三大墳墓地のひとつ。
日本一の観音霊場、清水寺を抱く山。音羽の滝の白糸が流れ落ちる風景は印象深く、国宝本堂の左手から続く道を辿ると、標高242メートルの頂きへと続きます。
音羽滝から子安塔をぬけ、清閑寺へと続く深々とした落ち葉道は「歌の中山」と呼ばれ、しばしば歌人たちが自らの思いと重ねた場所。
見分けがつきにくい三十六峰の中で、太閤が眠る豊国廟の背後にこんもりと山らしい形が確認できる山。奈良時代、行基が阿弥陀堂を建立したことが由来。
JR東海道本線と新幹線の東山トンネルの上。東山通りにはみ出すようにそびえる、樹齢八百年と言われる新熊野神社の大クスノキは圧巻。
泉涌寺の背後の山。枯れ木を見つけるのも難しいほど手入れが行き届いているのは、中腹に天皇陵があり宮内庁管轄のため。立ち入りが許可され てない神域です。
「東福寺の後ろに蒼翠たる恵日山のそびゆるあり」。洛南随一の紅葉の名所と言われる大本山を抱える、三ノ橋川を東に登った北側にあるなだらかな山。
かつて九条道家が造営した、極めて壮麗な光明峯寺があったことによる山名。応仁の乱で跡形もなく全焼したためその形跡の特定は困難とされ ています。
古代から神が住まう聖なる山とされており、山自体が信仰の対象と捉えられ、頂の一之峯へと上がることを「お山する」と言い習わされています。