
その起源は、二千年以上前のギリシャ。生地を紐状にして、木の棒に巻き付け直火で焼くオベリアスというパンに似た食べ物と言われます。
今回は年輪のように層を描く秋色のお菓子をご紹介。伺った先は京都でバウムクーヘンの老舗と言われる欧風堂。洛中でも創業50年以上もの洋菓子店は数えるほど。その中でも、いち早くこのユニークなお菓子を焼き上げ、京都に根付かせたお店です。
「バウムクーヘンを焼いて、四十年ほど。本格的な味をご提案した日本でも先駆けの店だと思います」と、二代目ご主人の佐々木さん。三十才でお菓子職人として歩み出し、その人柄から、先代や同業者にお菓子作りの姿勢や技術を学びとることができたのだそう。
「うちのずっと変わらない味わいの一本焼きバウム"。先代からの作り方をそのまま実践している看板商品です。大手さんとは違い、丸一日焼き続けても、焼ける量は3〜4本。最新の機械を使えばもっと作れるのかもしれませんが、この味が変わってしまうので…」と、目を凝らして焼き具合を確認しながら、生地を一層一層回しかけ、秋色に染めていきます。
「卵の使い方、バターのたて方、砂糖の混ぜ具合、心棒の温度まで、気候に合わせて目を配りますので、シンプルな製造工程ですが時間も手間も惜しめません。注文の多い時期はお客さまのご要望にお応えできないのが残念です」と本当に無念な様子で。
「愛されるスポンジ系お菓子は噛応えが良く、口溶けも良い。息の長いお菓子は相反するこのポイントを両立しています。見栄えに囚(とら)われず、そんな心があたたまるお菓子を作り続けたい」と佐々木さん。
手作業ばかりの工程を経て焼き上がる欧風堂のバウムクーヘン。記念日はもちろんのこと、ご進物やご贈答に、今日も地元の方々からの注文が止むことはありません。 |
|

「最近やっと、それぞれのお店には役割があることがわかってきました。欧風堂なら地域に愛され続け、地域の人々に笑顔になってもらうこと。創業以来、ずっと足をお運びくださるお客さまがいる幸せを大切にすることが私の努めかもしれません」。
 |