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 -Ryotokuji- 師走を歩く
ぬくもりの情景「鳴滝 大根焚寺」

ぬくもりの情景「鳴滝 大根焚寺」

 師走の声を聞き、木枯らしが身にしみるようになると…ぐっと美味しくなるのが、冬野菜。昔から、名物の一つに「水」が数えられる京都は自然の恵みが豊かで、野菜が美味しい古都です。味ばかりではなく種類も豊富で、大根だけでも聖護院大根、青首大根、辛味大根などがあります。かつては、そのなかに「鳴滝大根」というのもあったそうで。
 「鳴滝大根というのは青首大根の一種で、昔は、この近辺でたくさん作られていました」と語るのは、右京区鳴滝本町にある法輪山了徳寺のご住職、滋賀俊正師です。この了徳寺さんの門前には「大根焚寺」と刻んだ石碑があります。どんな所縁があるのかうかがうと…
 「鎌倉時代の建長4年(西暦1252)、親鸞聖人がこの地を訪れられ、村人にお説法をなされました。その時、心打たれた村人たちが大根を塩ゆでにして、お聖人様に差し上げたところ、たいへん喜ばれて、庭にあったススキを筆に、かまどの炭を墨として「帰命尽十方無碍光如来」(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)と十字の名号(みょうごう)を残されました。今でも毎年12月の9日、10日の報恩講には、お聖人様に塩ゆでの大根をお供えし、参詣の人々には醤油で焚いた大根をふるまっています」。親鸞聖人といえば、2011年に750回御遠忌。村人がお聖人を慕い続けてきた歳月の長さに驚かされます。驚くのはそればかりではなく、大根焚きの準備にもまた驚かされます。およそ1万人の参拝者へのふるまいに、大きな鍋で大根を焚いたり、接待をする檀家の人々は約100人。約3千本の大根が切り分けられ、ずらりっと並んだ桶から直径1メートルはあろうという釜へ、次々と焚き上げられます。ちなみに、京都では「だいこん」ではなく「だいこ」と読み、俳句の歳時記にも「鳴滝の大根焚(だいこ)」という言葉があります。

 

了徳寺 滋賀俊正師

了徳寺 滋賀俊正師
野菜にも時代による流行があるようで、現在では京都の大根は丸大根が主流。「青首の大根は農家に特別にお願いして栽培してもらっています」。伝統を守り伝えていく苦労も…。 


ぬくもりの情景「鳴滝 大根焚寺」 ぬくもりの情景「鳴滝 大根焚寺」
了徳寺
京都市右京区鳴滝本町83
TEL 075(463)0714

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