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 さらに足をのばして…-hanase- 花背の山里で樹≠愛す
花背の山里で樹≠愛す「木地屋」の工房

花背の山里で樹≠愛す「木地屋」の工房

 東山のふもとを歩く散策。歴史の景色を歩くのも面白いけれど、自然が豊かな景色は、京都には無いでしょ…?そんなことはありません。京都の市内にも山に包まれた豊かな自然があります。京の北の護りとされた鞍馬山をさらに超えて、花背(はなせ)の里へ。市街地から自動車で1時間ほど走った場所ですが、ここも京都市左京区の一部。もっとも、携帯電話は機種によって「圏外」の表示が出ているかも!?
 長い修行をしつつ、いつかは花背に工房を持ちたい。その思いを実現した人がいます。木を愛し、木の温もりや親しみやすさに心魅かれた川勝英十津(かわかつ ひでとつ)さんです。三重県では焼き物作りに取り組み、石川県ではウルシにかぶれながら漆工芸に打ち込み、学生時代にスキーに訪れた花背に、念願の工房を築いておよそ四半世紀。その工房も、周囲の自然にすっかりとけ込んだ住まいも、川勝さんが自身の手で建てたものです。
 ところで、川勝さんのお仕事は?とうかがうと、「私は木地(きじ)屋ですよ」と、おおらかな笑みを浮かべて教えてくれました。木地という言葉も聞きなれなくなりましたが、プラスチックや合成樹脂が無かった時代、日本人の日用雑器はほとんどが木製でした。ろくろを挽き、その器を作ったのが木地師…、いや、川勝さん流の言い方を借りれば「木地屋」です。
 川勝さんが作った器には大きな特徴があります。桐材をおもに用いていることです。道具類はいっさい自作という川勝さんがろくろを挽く工房で、かたわらに置かれた、まだ漆を塗っていない器を手にとると…軽い!まるで紙や絹のような軽さです。
 「軽い桐のお椀にご飯を盛ると、陶器のお椀では感じられない、ご飯の重さが伝わってきます。病気の方、お年寄りがその器でご飯を食べると、食べた実感がわいてくるでしょ。食欲もわいてくるでしょ。そういう人たちに喜んでもらいたいんです」
 その一方で、あわただしい生活を送る若い人たちにも、川勝さんは優しい視線を向けています。
 「桐の器、漆の器といえば“手入れが大変”と思うでしょ。そんなことはないんですよ。私が作る器は、若い人がスポンジで洗ったり、冷蔵庫に入れても大丈夫です。もっとも…電子レンジに入れられたらダメですが(笑)。木の器、漆の器は、使っているうちにイイ味わいが出てきます。もし、使っているうちに傷が付いたら、私が直しますよ」。
 自分で使いたい器を、自分で作る。そう語る川勝さんの家にも、工房にも、工夫を凝らした木の器が置かれ、その器は木造の家にとけ込み、木の家は周囲の山にとけ込んでいます。その山はいま、紅に染まる季節を迎えています。

 

屋号「木屑」川勝英十津さん

屋号「木屑」川勝英十津さん
個展
期間: 平成22年
12月21日(火)〜 26日(日)
場所:ギャラリーみすや
京都市中京区三条通河原町西入ル みすやビル2F

花背の山里で樹≠愛す「木地屋」の工房
花背の山里で樹≠愛す「木地屋」の工房
屋号「木屑」
京都市左京区花背別所町52


はしやすめ「まるたけえびす」

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