凛とした寒さに居住まいを正しつつ、晴れやかに迎える京のお正月。順正では、この時季にちょうど旬を迎える山海の滋味を、縁起物の食材と取り合わせて祝いの膳といたします。
 数の子は子孫繁栄、ごまめは五穀豊穣、黒豆はマメに暮らせるように…一年の健康と幸せへの願いを託して味わう「三つ肴」はおせち料理に欠かせない品々。ところで、おせちの起源は平安の昔、新年や七夕など折々の節目に神前にお供えした「節会の料理」にさかのぼることができるそうです。
 元来、尊い存在に捧げるために練り上げられてきた初春の縁起物料理は、目に美しく舌においしく、そしてなぜかお屠蘇によく合うものばかり。日本の神様たちは、きっとお酒好きなんだろうな…なんて思いをめぐらせつつ、お屠蘇の杯を重ねてみるのもまた一興かと。

*献立は旬に合わせ、月に2度変わります。
 
【向付】
 舌にとろける鮪の中トロと、小気味よい歯ごたえの鯛を紅白にあしらったお刺身。とれとれの新鮮さを、鰹の風味を移した土佐醤油で味わって下さい。


【八寸】
 千枚蕪寿し・穴子の笹巻き寿し・蟹の棒寿し・さよりの唐墨よごしの取り合わせに、数の子・ごまめ・黒豆といった縁起物を添えて。お屠蘇の肴にどうぞ。
 
【焼物】
 プリっとした弾力とほどよい味噌の風味を楽しむ真魚鰹の西京焼きに、赤味噌・柚子味噌・木の芽味噌で三色に仕立てた海老芋田楽を添えました。