私は卒業間もなく順正に勤め、その後多くの料理屋で研鑚を積み、四年前副調理長として南禅寺順正に帰ってきました。中学時代は滋賀県の走り高跳びの選手で大会記録で優勝したことものあるのですが、調理師になったとたん朝から晩まで働きづめ、月三日ほどの休日はただ寝るだけの生活となりました。近頃は世間並に休日も取れるのですが模型作りにはまり、やはり休日は自宅で過ごしています。最近の作品は自在に走りリアルな砲撃音まで出る戦車です。
その大事な休日、何か美味しいものをと妻にせがまれ、これなら作れると教えたのがこの『豆腐のみぞれ煮』。添菜や薬味で季節感も出せ作り方も簡単。貴方も一度おためしださい。



南禅寺順正 副調理長 竹内 茂
 

木綿ごし豆腐・・・・・・・・・二丁
おろし大根・・・・・二分の一本
菜の花(季節の青菜)・・適量
小麦粉・・・・・・・・・・・・・・適量
柚子・・・・・・・・・・・・・・・・適量
晒し葱(お好みで)・・・・・適量
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
〜煮汁〜
出汁・・・・・・・・・500CC
淡口醤油・・・・・・90CC
濃口醤油・・・・・・30CC
味醂・・・・・・・・・100CC



(1)豆腐は形よく短冊に切り、ふきんで包んで軽く押し置き 水を切る。
(2)少し塩を加えた熱湯で菜の花を色よくゆでる。
(3)豆腐にむらなく小麦粉をまぶし、少し高温(一七〇度くら い)で両面がきつね色になるまで揚げる。
(4)豆腐の揚るタイミングを見計らい、合わせた煮汁を一煮立ちさせ、揚げたての豆腐、菜の花、軽く水切りしたおろし大根を入れ、強火にする。ぐつぐつ煮えたら、すぐ火を止めてできあがり。
(5)器に盛り付け、針に切った柚子、晒し葱をのせる。

木綿ごし豆腐のほうが水を切りやすく、この料理にむいています。もとの堅さにもよりますが一〇分から十五分くらい水切りするとよいでしょう。
針に刻んだ春先の柚子は香だけの飾りではありません。少し多めにのせて一緒にお召し上がりになると一段と料理が引立ちます。柚子がなければ、木の芽、おろし生姜、七味など何か薬味は欲しいものです。